キャンパス?ハラスメントコラム 2020年度

■立場はちがっても人としては対等(ニュース専修2021年3月号掲載)

 体調をくずして仕事や授業を休んだり遅刻や早退をすることは、誰にでも起こりえます。自らの健康を管理し、休まず出勤?出席している人は称賛にあたいしますが、健康上の理由で休むことは決して非難されるべきことではありません。中には、持病をかかえつつ努力して仕事や勉学にとりくんでいる人もいることでしょう。
 人の体調について、「どこが悪いのか」と具体的な説明を求めることには慎重でありたいものです。もちろん、何回も繰りかえし休んでいる場合など、事情を知りたいということもあるでしょう。そのときは、他の人のいないところで、話せる範囲内で話してもらう。聞いたことは他言しないことを本人にも伝え、それを守ることが必要となるかと思います。
 現在も大学生のほとんどが若者であるという状況は変わっていませんが、大学とは本来、年齢に関わらず、学問を志す人があつまる場所です。教員は学生に教えるという立場にあるとはいえ、人としては対等です。学生に対するとき、「もしも相手が自分よりも年長であってもその言葉を、その口調で発するだろうか、その態度をとるだろうか」という問いを念頭に置いてみるといいかもしれません。
 相手に対してほどよい距離を保ち、相手の状況について想像力をはたらかせることが、誰もが快適なキャンパスを実現するための第一歩となるのではないでしょうか。


(キャンパス?ハラスメント対策室員 廣瀬 玲子)



■キャンパス?ハラスメント対策室を知っていますか?(ニュース専修2021年1月号掲載)

 私たちが暮らしている社会―仕事や勉学の場では、複数の人が集まり、意図するorしないにかかわらず、人が人を傷つけたり不利益や不快感を与えてしまうことがあります。大学において、力関係を利用したいじめや嫌がらせ、人の尊厳や人格を傷つけるような行為をキャンパス?ハラスメントといいます。これは教員と学生、職員と学生、教員と職員、教員同士、職員同士等、さまざまな主体間で起こり得ます。
 このような行為は、時として人を絶望の淵に追いやり、抱いていた夢や希望を打ち砕いてしまうこともあります。人の言動が凶器となり、将来の可能性や人生のビジョンを変えてしまうこともあるのです。しかしこのような事態は、少し意識や行動を変えることで防げる場合もあります。
 威圧的な言動、陰湿ないじめや嫌がらせによって大学に来るのがつらくなってしまったとき、ぜひキャンパス?ハラスメント対策室の存在を思い出してください。対策室は勧誘したり、賑わったりする存在ではありませんが、キャンパスの皆が心の片隅にその存在を知っていてほしいのです。大学に行くのがつらくなったとき、一人で悩んでいないでその存在を思い出してください。つらい状況や悩みを発することによって防げることもあります。対策室は、いつもは閑散としている方がいいですが、いざという時に心の片隅にある「交番」のような役目を果たせればいいと思っています。

(キャンパス?ハラスメント対策室員 植田 敦紀)



■大切なパートナーとしての意識を(ニュース専修2020年11月号掲載)

 「これから授業を始めますけど、皆さん、聞こえていますか」と声をかけると、何秒か後に「聞こえています」「大丈夫です」という反応がチャットに表示される、というような画面越しのやりとりが続いています。知り合いの教員からのメールには「画面に、名前とアルファベットだけがズラッと並んで、それらに見られている感覚は、なんか不思議でした」とありました。「なんか不思議」、まさしく同感です。
 残念ながら、いかなる状況においても、ハラスメントは起こりえます。ほんの冗談のつもり、親しみの表現のつもりで発した言葉が、画面の向こうの誰かを傷つけているかもしれず、しかもそれに気がつけない。こうした落とし穴があると自戒する一方で、なんとなく気軽に声をかけづらいなと思っていました。
 ふっ切れたのは、キャンパス?ハラスメント対策室が作成したリーフレット「ハラスメントのないキャンパスへ」に記された「すべての構成員は、お互いが大切なパートナーであるという意識を持つ」という一文です。パートナーとは「仕事などを共同でするときの相手」(大辞林第三版)。「大切な」と付してあることがポイントです。あまり細かいことを気にせずに、「なんか不思議」な経験を思いがけず共有することになった、大切なパートナーとの対話を楽しむことにしました。
 学生のみなさんはいかがでしょうか。画面の向こうにいる、あなたの大切なパートナーと、のびのびと学ぶことができていますか。力を合わせて、この禍を転じて福と為すことにしましょう。

(キャンパス?ハラスメント対策室員?荻原 幸子)



■礼儀作法の精神 再認識を(ニュース専修2020年9月号掲載)

 1989年のセクハラ裁判がきっかけで世間に知られるようになった「ハラスメント」という言葉ですが、現在では実に多種多様なハラスメントが認識され分類されています。
 ハラスメントは、日常的に起こりうるさまざまな場面での「嫌がらせ」や「いじめ」の総称ですが、個人の価値観、倫理観や生活環境の違いから起こります。最近ではSNSをはじめとするソーシャルメディアを介してのコミュニケーションは活発になっている反面、人と直接接する対面でのコミュニケーションに苦手意識を持っている人も増えてきているように思われます。軽い気持ちで何気なくつぶやいた外道が、人を傷つけ、時には死に追いやってしまう報道がなされるたびに、社会が荒んでいく危うさを感じざるを得ません。
 世界中でコロナ禍による深刻度が増しており、若い世代を中心に再び感染者が急増している状況は、これまでの社会の在り方に警鐘を鳴らしているようにも感じます。
 このような時こそ油断せず、自分本位ではなく規律ある行動をとれるかどうか、私たち一人ひとりの行動が試されています。
 時代を超えて、多くの日本人の中に代々受け継がれてきた礼儀作法の精神は、世界からも感嘆され、これからも引き継いでいくべき日本人の美徳であることに疑いの余地はありません。他人を気遣い、不快感や苦痛を与えないことを意識して自らが無意識のうちに加害者にならないようにする、自戒を込めて「己所不欲勿施於人」(おのれの欲せざるところは人に施すなかれ)を心がけていきたいものです。
(キャンパス?ハラスメント対策室員?臼井 勝彦)



■反ハラスメント力(ニュース専修2020年7月号掲載) 
 
 まず、定義がないと新たな事は伝わりにくい。セクシャルハラスメント(現在の表記はセクシュアル)はその典型だった。今では当たり前のハラスメント行為でさえ、多少のやりすぎと1987年当時は思われていたのである。87年は小生の入職年であるが、セクハラ概念が広まった年でもある(新語?流行語大賞金賞を89年にとる)。
 配偶者(社会学者)から聞いたのが最初であるが、当時はこれほど広まるとは思っていなかった。大学において誰もが必要な学修?教育?労働及び研究の環境を悪化させる行為はあってはならないのである。事案への対処以前にまずその発生自体を減らさなければならない。 そして現在ではアカデミック?ハラスメントやパワー?ハラスメントにまで拡張されているが、モラル?ハラスメントまでキャンパス?ハラスメントには当然含まれる。この間の多くの被害者(大半は誰も知らない…)の思いは想像しがたいが確実に存在する。この防止のために我々は何をすべきであろうか?
 毎年新入生には話す場があるが、今年度はまだなされていない。後期に向けて何ができそうか検討されていると思われるが、やれることを追求しなければならないだろう。そしてそれ以外では対策室会議のルーチン作業以上に、原点に回帰して考える必要があるかもしれない。実は現在でも暗黙のうちに何か指示したりする中で何らかのハラスメント案件を生じさせているかもしれない。入学する学生に対する教育だけではなく、日常の判断基準の修正にもかかわるので、年に一度は反省する場を設ける必要もあるかもしれない。そのように「反ハラスメント力」が内在すようになって初めて教育が半分不要となるのであろう。他人と共に学ぶのに不可欠な力であるのだから。

(キャンパス?ハラスメント対策室員 江原 淳



■一人で悩まないで(ニュース専修2020年5月号掲載)
 キャンパス?ハラスメント(セクハラ?アカハラ?パワハラ)とは、優越的地位や職務上の地位を背景に、相手側の人格を傷つけるような言動により、不快感もしくは不利益を与え、または差別的に取扱い、もしくは不利益な取扱いをすることによって、相手側の尊厳や人権を損ない、教育、研究、学修および就労の環境を悪化させる行為をいいます。
 本学では、ハラスメントの起こらないキャンパスを目指して「専修大学キャンパス?ハラス メント防止規程」が制定され、そのもとで「キャンパス?ハラスメント対策室」が設置され、その防止と被害者の救済に取り組んでいます。
 皆さんが不幸にしてハラスメントを受けた場合の対処法としては、次の点が重要です。 第一に、皆さんがキャンパス?ハラスメントだなと感じる不快な言動を受け、深く心が傷つけ られたことを、できるだけその場で相手方に明確に伝えましょう。第二に、伝えたかどうかは別として、相手方の不快な言動の内容や起こった日時?場所などをできるだけ詳しく記録して おきましょう。第三に、より大切なことは、一人で悩まないことです。
 ハラスメントと思われる不快な言動によって心に大きな傷を負った場合には、キャンパス? ハラスメント対策室へご相談ください。対策室は、独立した権限をもった中立的な機関です。 皆さんが相談されたことなどの秘密は厳重に守られますので、安心してご相談ください。


(キャンパス?ハラスメント対策室長、法学部教授?内藤光博)