2023.03.16 Thu
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白河から始まる日本語研究
日本語研究者?岩淵悦太郎の業績を紹介
白河市と共催で企画展と講演会

_DSC7125_004_01▲松木理事長(右)、鈴木市長(右から2人目)らが白河方言について話し合った
本学は3月10~12日、福島県白河市との共催で、企画展「岩淵悦太郎収集の貴重古典籍」を白河市図書館「りぶらん」で開催した。国際コミュニケーション学部日本語学科所蔵の貴重古典籍を展示。あわせて11日には、「白河から始まる日本語研究」と題して講演会とシンポジウムを開催した。専修大学校友会福島県連合会、専修大学育友会福島(中通り)支部の後援。
岩淵悦太郎(1905-78)は白河出身の日本語学者。国立国語研究所の第2代所長を務め、「岩波国語辞典」の編者としても知られる。専門は日本語の音の変化の歴史(音韻史)で、音韻に関連する膨大な古典籍を残した。

今回の展示では、岩淵が集めた貴重古典籍の中から8点を紹介。このうち奈良時代の古写経には平安時代の読み方の書入れが行われている。また、江戸時代の「平家物語」の稿本には、琵琶法師が語るための記号が書き込まれている。
日本語学科の斎藤達哉教授は講演で岩淵の業績と展示資料について紹介。「音韻史研究の学問的関心に基づくコレクション。古典籍の書き込みから、過去の日本語の音が分かる」と解説した。

また、丸山岳彦教授は「岩淵悦太郎の話す白河方言を聴こう」と題して、白河方言の特徴や、岩淵が中心になって行った国立国語研究所による大規模な言語調査「白河調査」の詳細について語った。49年に行われた白河調査では、共通語と方言を使い分ける条件や、特定個人の24時間発話調査などが行われた。丸山教授は「言葉を人間生活の中で行われるものとして捉え、社会での言語生活の実態を初めて明らかにした」と調査の意義を説明。岩淵の肉声や50年代の市井の人々の話し言葉も紹介し、言葉を調べ、残すことの魅力を伝えた。

続いて行われたシンポジウムでは、同市出身の松木健一学校法人専修大学理事長、鈴木和夫市長、丸山教授、斎藤教授が白河方言の具体例などについて縦横に語った。松木理事長は「白河方言は温かい感じがする。地域で育まれた言葉の背景には、人々の営み、人間関係の奥深さがある」と語り、鈴木市長は「言葉の数だけ文化がある。地域が育んだ方言こそ、自分たちのアイデンティティーだ」とまとめた。

企画展では、国陸国語研究所提供の白河調査時の写真も展示し、多くの来場者が見入っていた。
また講演会当日は、東日本大震災発生時間に参加者約110人が1分間の黙とうをささげた。

_DSC7080_001_01▲日本語の音韻に関する貴重古典籍を展示
_DSC7111_002▲岩淵の肉声を交えながら講演する丸山教授
_DSC7116_003_01▲展示資料について解説する斎藤教授

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